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恋愛小説

恋のメモ3:2分で読める恋愛小説ショートショート

ハートの花びら 恋愛小説
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メッセージ

あなたが足りない。

楽しいこともある。

トライアスロンを完走した。

快感。達成感。満足感。

いろんな思いが満たされる。

でも、あなたが足りない。

そばにいてほしい。

会いたい。

子供とプールに行った。

喜んでいる表情。

可愛い。

帰りに拗ねる姿も可愛い。

楽しい思い出。

でも、あなたが足りない。

毎日の中で、楽しいことも苦しいこともあるけれど。

それはそれで満たされているけど、

あなたで満たされたい。

あなた以外の満たされた気持ちはひとつの気持ちではあるけれど。

私の満たされたい思いはあなたとともにいること。

あなたが足りない。

この満たされない気持ちを満たしてほしい。

あと、数年で佐渡のトライアスロンに出る。

そのときにはゴールで待っていてほしい。

3.8km泳いで、

180kmを自転車で走り、

42,195kmを駆け巡り。

その先で待っていてほしい。

あなたが待っていなければたどり着けないよ。

人生の中で一番の大勝負はこの大会とあなた。

アイアンマンになるから、鉄人になるから、

そのとき隣に、

一緒にいてほしい。

ゴールテープを一緒に切ってほしい。

さぁ、明日からまたトレーニングの日々が始まる。

冷静と情熱の間って本を読んだ。

結末に救われた。

最後にもう一皮むけますか!

あと一歩。

半歩ずつ刻むか、それとも一歩で突き進むか。

あなたしだいだよ!

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記念日

そんなつもりじゃなかったのに、一年記念が台無しになってしまった。

私たちが付き合い始めて1年。

楽しい日々が続いていたのに。

私が失敗した。

毎月祝っていた。何か月記念って。重い女だと思われるかなって思ったけど、彼は喜んでくれた。

プレゼントを毎月送るとお金がかかってしまうので、お祝いはいつもどこかで食べるようにしている。カフェでケーキやデザート、パフェなんかが多いが、ちょっと贅沢に食事をすることもあった。

彼が好きな味はだいたい分かる。だって単純だから。私は新しいお店に行くのが好き。いまのところ同じお店を使っていないのは私たちに遊び心があるからかな。毎月同じお店にいったらマンネリになるかもね。

そんな中でふと気づいた。記念日を言い出すのはいつも私の方だ。彼は覚えていないのかな?そんなことはないと思うけど試しに12回目の記念日、つまり1年記念を彼から言い出すか待ってみた。

結果は残念なことに言い出さなかった。だからそれとなく聞いてみた。

「今日は何の日でしょう?」

「オレとお前の誕生日。」

「いやいや誕生日一緒じゃないし。忘れたの?」

「付き合って1年でしょ?」

「覚えてたの?言ってくれればいいのに。待ってたんだよ。」

このとき彼の表情が微妙に変化した気がした。

「毎月祝っていれば気が付くよ。」

「嫌だった?重い?」

「うんとね、重いとかではないよ。嫌とは言わないけど、ちょっと微妙だと思う。」

「面倒?」

私は気づかぬうちに嫌われていたのかもしれない。

「オレね。好きなの。お前のこと、好きなの。だからね、ずっと一緒にいるつもりだからたくさん祝うことになるよ。これから何年も一緒にいるのに毎月だと多くない?俺の方が重いかな?俺は付き合ういじょう真面目に付き合うよ。」

「重くないよ。私も真面目に付き合っているよ。」

「責めているわけじゃないよ。ただ、試されるのは嫌だったかな。もし忘れていたら嫌いになっちゃう?」

「そんなことないよ。」

「だったらいいよ。まぁたまに試されるくらいの方が刺激が合っていいかもね。そのかわりうっかり忘れても嫌わないでね!」

「嫌わないよ。私のことも嫌いにならないでね。」

ちょっと安心して1年記念日は終わった。ウキウキするような記念日にはならなかったけど、今後を見据えるいい機会になった。

4日後、彼が家に花束を持ってきた。ゆで卵を持って。

「どうしたの?」

「毎月じゃなくて、俺にとっては毎日が記念日だから、369日記念。3の倍数が並んで気持ちいいでしょ?」

「なんでゆで卵なの?」

「手料理だよ。前にお菓子焼いてくれたでしょ。だから俺も何かしようと思ったらゆで卵になった。」

驚いたけど、笑った。彼といると楽しいことばかりだ。

だって彼は普通じゃないもん。

私も普通の女の子じゃないよ。

だって彼を好きになって、彼に選んでもらえたから。

次は私の番だな。何をしようかなと考え始めて楽しくなった。

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エゴサーチ

私は私の名前が好き。

私はあなたの名前が好き。

私があなたと同じ苗字になったら素敵な名前になる。

幸せな名前になる。

相性占いをしていて、ふと自分の名前を検索してみた。

何気ない名前だ。きっとこの国には同じ名前の人が溢れている。

私と同じ名前なのに、私ではないたくさんの誰かが表示される。

良いのか悪いのか。

私はきっと目立たない。

今のままでは。

私は自分のSNSを見直した。

もし、彼が私を検索して私を見つけた時に、可愛い私でありたい。

彼が私を見つけたときに、メッセージを送りやすくなるように。

自分を検索することを、エゴサーチと言うらしい。

「エゴ」とは「自我、自尊心、利己主義、うぬぼれ」といったマイナスな意味合いもある。

自分で自分を検索することはうぬぼれなのか?

私は気にならない。だって私以外の誰かが出てくるから。

彼だけが私を見つけてくれればそれでいい。

私は彼だけだから。

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リサーチ

あなたの名前を検索してみた。

あなたが出てきた。

あなたしか出てこなかった。

あなたはあなただから。

画面の向こうのあなたに会いたいと思った。

このご時世。ネットで見れないものはあまりないなぁ。

きっとあなたを好きになった人はあなたにたどり着く。

良いのか悪いのか。

私もあなたにたどり着いた。

元気なあなたに嫉妬する。

私をどう思っているのか。

あなたと一緒に写る人に嫉妬する。

あなたの隣にいたいから。

嫉妬し、悲しみ、そして嬉しく思う。

あなたの笑顔が好きだから。

あなたには幸せになってほしい。

あなたの幸せを望んでいるから。

私と幸せになってくれればいいのに。

そう思う。

私はきっとあなたを見失わない。

あなたがあなたでありますように。

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ねがい

(この願いを歌に込めて)

幾百年も

残っていく言葉のように

私も君の中に

残りますように

たった一つの

君と繋がる未来も

この世のどこかに

描かれていますか

いつか私も

結ばれますように

この想いが・・・

(あなたとの未来が、いろんな幸せの花が、たくさんの幸せの彩を添えて、咲き乱れますように、咲き誇りますように)

暮らし

ふとソファーに座ってテレビを見ているとき、あの人のことを思い出した。

あの人が隣にいる感触。

一緒に笑っているイメージ。

あの人とはいろんなところへ行った。

いっぱいデートをした。

いろんなものを食べて、いろんなものを見て、いろんなことをした。

この感覚は何だろう?

一緒にソファーに座って、携帯をいじりながら、お互いじゃれ合う。

これって一緒に暮らしてるってことかなぁ?

あの人のことを思い出した。

手作りの料理を一緒に食べる。

ふたりでテーブルを囲んで、笑いながら。

あの人の好きなものを覚える。

次はうちに呼んで、私が作る番だ。

お出掛けデートも楽しいけど、家でのデートも楽しい。

私は気づいた。

泊まったことがないだけで、あの人とは暮らしていたんだと。

目的もなく、一緒にいた時間。

その時間が楽しい思い出。

一緒に見たテレビ。

一緒に食べたご飯。

あの人との生活。

ただ、デートを重ねただけでなく、あの人と暮らしたことが私の幸せ。

幸せの条件

人の不幸の上に、幸せは訪れない。

親というものは子供の幸せを第一に考えるものだと思っていた。

一番かどうかは別にして、幸せを考えてくれるものだと疑っていなかった。

私は一生消えない罪を背負わされた。

この罪を一生背負って生きていかなければならない。

これを幸せだと誰が思うのか?

背負う必要のない罪だった。

私の幸せはお金に換えられた。

道徳、倫理、法律、義務、責任、どんな正論も、お金に換えられたという事実を知った時にすべて吹き飛んだ。

お金なの?

私の失った幸せで得たものってお金なの?

そのお金で私が幸せになるとでも思ったの?

人を苦しめたお金で、私はご飯を食べ、ソファーに座りテレビを見て、旅行に行き、笑って過ごしてきた。

それは人を苦しめたことを知らなかったに過ぎない。

知ったその時から、笑えなくなった。

私の人生は人を苦しめた上に積み重ねられていく。

これほど辛いものがあるのだろうか。

ソファーに座って過ごしてきた家族団欒も苦しくなった。

家での食事は味を感じなくなった。

私の幸せは売られてしまった。売られてしまったので幸せがなくなってしまったのだ。

もっと恐ろしいのは、まだ私が知らないだけでより大きな罪を犯していること。

それを知った時にまた言い訳を聞かされる。

私は前向きに生きていきたい。

私は幸せになりたい。

人の不幸の上に幸せは訪れない。

ならば、あの人を幸せにするしかない。

私の売られた幸せをもう一度取り戻すために。

私は家を出るその前に、家族の写真を本に挟んだ。

子供向けのその本のタイトルを見れば私の気持ちが分かると思う。

玄関に向かって、

「今まで育ててくれてありがとうございました。」

そう呟いた。

そう言って欲しいんでしょ?

これでお望み通りでしょ?

私は清算しなければならない。背負わされた罪と人を苦しめた過ちを。ただし、罪と過ちを犯したのは私ではない。

「さようなら」

そう言ったときにはもう振り返ることなく歩き始めていた。

あの人のもとへ。

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